栄養について知ろう
頭が良くなるフィッシュオイルってなに?
魚は良質なたんぱく質であるのに加え、ビタミンや必須ミネラルが豊富に含まれています。
さらに脂肪分が少なく低カロリーなのが特徴です。
「魚を普段から食べている方は心筋梗塞になりにくい」との研究もあり、健康に欠かせない食材となっています。
「フィッシュオイル=魚の油」
フィッシュオイルとは、その名の通り「魚の油」のことです。
原料となる魚(イワシ、サバ、スケソウダラ等)を煮熟し、煮汁から油を分離することで抽出されます。
そんなフィッシュオイル(脂肪油)に含まれる栄養素の一つが「オメガ3脂肪酸」です。
海洋性オメガ3脂肪酸のDHAやEPA、クルミやエゴマに含まれるα-リノレン酸に分けられます。
一見「油=悪者」というイメージがありますが、いくつかの研究ではオメガ3脂肪酸の摂取により、脳の発達やADHDへの改善効果があるとのこと。
フィッシュオイルの効果とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
脳や目などの神経細胞の働きに関与
まずは脳の発達効果について。
「魚を食べると頭がよくなる」とよく聞きますが、実際にオメガ3脂肪酸であるDHAやEPAは脳や目などの神経細胞の働きに関与することがわかっています。
2012年に発表された論文では、平均年齢69歳の女性854名の赤血球中のDHA量と脳の加齢障害との関係を調べたところ、DHAが不足している人は、視覚記憶テストのスコアが低いことが判明しました。
引用元:アメリカ国立衛生研究所資料
つまり、DHA・EPA不足が脳や目の働きを低下させる可能性があるということです。
あくまで高齢者を対象にした研究ですが、ほかにも同様の研究があることから、私たちの健康を支えるうえで必要な栄養素だといえます。
心疾患のリスクが低くなる
海産物(魚や甲殻類)を多く含む食事と心疾患に関する研究結果では、週に1回以上海産物を食べる人は、ごく稀にしか食べない人・まったく食べない人に比べて心疾患のリスクが低いことが判明しました。
日本食品標準成分表2020年度 では、オメガ3系脂肪酸(DHA・EPA)の目安量を1歳で0.7g/日、10歳前後で1.6g/日としています。
10歳を例にすると1.6gが目安量なので、まぐろの刺身であれば5〜8切れ程度。
DHA・EPAが500mg配合されているサプリメントなら1日3粒程度に相当します。
不足したからと言ってすぐにリスクがあるわけではないですが、子どもの健康を考えると、適度に摂取しておきたいところです。
※目安量:ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量
中性脂肪の低下
中性脂肪は血液中に含まれる脂肪の一種です。過剰な中性脂肪(トリグリセリド)の摂取はは心疾患のリスクを高める可能性があります。
そんな中性脂肪を低下させるのがオメガ3脂肪酸。
DHA・EPA協議では中性脂肪の低下について「十分な根拠がある」としています。
その作用のしくみが明確になっていることから、食生活が乱れがちな人にとっても効果があるといえそうです。
実際にオメガ3脂肪酸を含む複数の製剤は、トリグリセリド値が非常に高い患者の値を低下させるために、処方薬として承認されています。
魚は生魚がおすすめ
栄養価が高く人の体に必要なDHA・EPAですが、弱点もあります。それは加熱によって栄養が分解されてしまうことです。
ある実験では魚をグリル焼き、フライパン焼き、揚げの調理方法別に温度を変えて加熱し、どれだけDHAやEPAが減少したのかを調べました。
その結果中心部温度75℃まで調理した際のEPAとDHA残存率は、グリル焼きではそれぞれ92、87%、フライパン焼きでは80、85%、揚げでは51、58%でした。
DHAやEPAは加熱により減少してしまうため、魚に含まれている栄養を効率よく摂取したいなら、生魚を食べる方がよいでしょう。
加熱料理の場合は、汁ごと食べられる料理(味噌汁、煮汁)がおすすめです。
DHA、EPAを逃さない効果的な調理法で、おいしく食べてみてくださいね。
出典:日本脂質栄養学会
フィッシュオイルを積極的に摂取しよう
フィッシュオイルに含まれるDHAは脳発達には欠かせない栄養素であり、学習や記憶力の向上に繋がります。
また他にも血液をサラサラにする、眼精疲労の抑制効果などがあり、子どもだけでなく大人にも欠かせない栄養素です。
日常から積極的に魚を取り入れるのがおすすめですが、魚が嫌いな場合は栄養補助食品(サプリメント)を利用してみてはいかがでしょうか。