栄養について知ろう

野菜を食べても栄養摂れないって本当?

この記事は約4分で読めます。

カリウム、食物繊維、ビタミンCなどが豊富に含まれる野菜。

健康的な食生活にも欠かせませんが、じつは野菜に含まれている栄養素が年々減少傾向にあることはご存じでしょうか?

野菜に含まれる栄養素は年々減少傾向に

野菜の画像

2004年に学術誌「Journal of the American College of Nutrition」で発表された論文では、全43種類の作物に含まれる13の栄養素の変化を記録したところ、タンパク質やカルシウム、リンの減少が見られたそうです。

さらには体の酸素を運ぶ鉄分、酸化防止作用のあるビタミンCなどの栄養素レベルも低下していることが分かりました。

全体の減少度合いとしてはタンパク質で6%、リボフラビンで38%程度です。

また2022年1月に学術誌「Foods」で掲載された研究によると、オーストラリア産の野菜の一部で鉄分含有量の顕著な低下が見られたとのこと。

そのほか複数の研究から明らかになっているように、私たちが食べる野菜に含まれる栄養素は年々減少傾向にあります。

参考:日本経済新聞「野菜や果物の栄養、数十年前に比べて低下」

さらに野菜の栄養素の一部は調理過程の中で失われる

そもそもの野菜に含まれる栄養素が減っているうえに、野菜の栄養素は調理過程でも失われてしまいます。

「体にいいから」といって毎日野菜を食べていても、非効率に摂取していては本来必要な栄養が不足するかもしれません。

たとえば水溶性のビタミンCを例にすると、水にさらしたり茹でたりすることで栄養素が流出してしまいます。

生のほうれん草に含まれるビタミンCを100%とした場合は、

  • ・1分間茹でるとビタミンCの残存率は74%
  • ・2分間茹でるとビタミンCの残存率は64%
  • ・3分間茹でるとビタミンCの残存率は48%
  • ・5分間茹でるとビタミンCの残存率は40%

まで減少するようです。

これらはビタミンCが水溶性なのに加えて、熱に弱いことが原因です。

茹でた野菜を摂取する際は、スープやおひたしにするなど出汁と一緒に摂取しましょう。

調理過程で栄養が失われないように正しい知識を得ることが大切です。
砂糖や添加物が栄養素の吸収を阻害する

野菜から十分な栄養を摂取できない理由には、加工食品を摂取する頻度が増え、大量の砂糖や添加物を摂取していることも挙げられます。

ハムやソーセージ、インスタント食品、清涼飲料水など私たちの周りには常にたくさんの加工食品が溢れています。

そんな加工食品に含まれる砂糖や添加物は、じつは栄養素の吸収を阻害するのです。

砂糖が栄養素の吸収を阻害する例

砂糖の画像

酸性食品である砂糖を大量に摂取すると、中和のために体内のミネラルが使われます。

このときに多く消費されるのが「カルシウム」。

骨格を構成する重要な物質であるため、不足すると骨が十分に成長せず、骨粗鬆症の原因にもなります。

リンやマグネシウムなどのミネラルは、互いの吸収率に影響を与えるため、バランスよく摂ることが重要です。

食品添加物が栄養素の吸収を阻害する例

たとえば食材の風味や食感、保存性を高める「リン酸塩」。

なんと体内のミネラルと結合して、カルシウムなどの栄養素の吸収を阻害してしまうのです。

せっかく野菜を食べていても、このリン酸塩を日常的に摂取していれば、栄養素がうまく体内に吸収されません。

また不要な食品添加物は腸管の粘膜を弱める原因となり、腸内細菌叢が乱れることがわかっています。

不足しがちな野菜の栄養素を摂取するために

添加物のリン酸塩は「乳化剤」や「酸味料」という形で、他の成分と合わせてまとめた名前で表記することも認められています。

そのため原材料を見ただけではわからないことも多くあるのが現状です。

さまざまな情報が錯綜し正しい判断ができない中で、私たちは何をすべきなのでしょうか。

カット野菜や冷凍野菜を活用する

カット野菜の画像

せっかく購入した野菜も「腐る前に食べきれない」「皮をむいたり切ったりするのに時間がかかる」など、活用するのが難しいもの。

とくに自炊に慣れていない人にとっては野菜を使った料理を準備するのも面倒ですよね。

そんなときは、コンビニやスーパーで売られているカット野菜や冷凍野菜を利用してみましょう。

もちろん洗ったり皮をむいたりする必要もありません。

こういった商品の中には、栄養の吸収を阻害する可能性のある添加物が一切含まれていないものも多数存在します。

野菜を摂取しても、その栄養の吸収がはばまれては意味がないので、食品表示をよく確認するとよいでしょう。

さらにカット野菜はすでに食べやすい小分けになっていますし、冷凍野菜は長期保存が可能です。

加工食品に苦手意識を持つ気持ちも分かりますが、有害な添加物が含まれていなければ問題ありません。

そもそもの摂取量を増やさなければ不足分は補えませんから、有効活用しましょう。

サプリメントを活用する

サプリメントの画像

サプリメントは「摂ったほうがいい」と考えている人がいるかもしれません。

しかしこれまで紹介してきたように「栄養が摂れない」現代では、むしろサプリメントから栄養を「摂らなくてはいけない」状況ができあがりつつあります。

自炊して無添加の野菜料理を摂取できないときも、コンビニや外食でメニュー選びを工夫して添加物をなるべく避けたり、不足している栄養をサプリメントで補うなど、日々の工夫で野菜の栄養不足を解消していきましょう。