栄養について知ろう

頭と身体を動かす炭水化物とは?

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炭水化物は、脂質・タンパク質と並ぶ三大栄養素の一つです。

おもに脳や体を動かすためのエネルギー源として利用され、私たちが健康的に生きるうえでは不可欠です。

今回はそんな炭水化物の役割、さらには摂取するうえでの注意点を解説します。

炭水化物の役割

炭水化物は、消化・吸収されずエネルギー源とならない「食物繊維」と体内に吸収されエネルギー源となる「糖質」に分けられます。

それぞれ体内での働きについて詳しく見てみましょう。

体の主要なエネルギー源

健康的な食事の写真

炭水化物は体内でさまざまな種類の糖に分解され、体内ではブドウ糖、肝臓や筋肉ではグリコーゲンとして存在します。

糖質は1gで約4kcalのエネルギーを生み出し、タンパク質や脂質に比べてすぐにエネルギーに変換されるのが特徴です。

また食生活では主食として食されることが多く、身体活動をおこなうためのエネルギーとして欠かせません。

脳の活動も支える

勉強している様子

糖質がさらに分解されてできたブドウ糖は、脳の活動も支えます。

そのためブドウ糖が不足すると意識障害を起こすこともあります。

肝臓や筋肉に貯蔵されるグリコーゲンとは異なり、ブドウ糖は体内に貯蔵できないため、食事から定期的に補給しなければなりません。

細胞の構成成分にもなる

細胞のイメージ図

ブドウ糖はさらに情報伝達をするDNAやRNAの生合成の成分としても使われます。

また糖質がタンパク質と結合すると、糖タンパクとなり、細胞の重要な構成成分となります。

食物繊維は便秘を防ぐ

健康的な女性がヨガをしている写真

食物繊維は、便通を整え便秘を予防するのに欠かせない栄養素です。

また脂質、糖質、ナトリウムなどを吸着して体外に排出する役割もあります。

さらには脂質や糖質の過剰摂取によって引き起こされる肥満、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防・改善も期待できます。

炭水化物が含まれる食品

炭水化物は、雑穀類、いも・でんぷん類、砂糖などの甘味料類・果物類に多く含まれています。

上白糖

99.3g

緑豆はるさめ

87.5g

コーンフレーク

83.6g

精白米

77.6g

スパゲッティ

73.1g

そうめん(乾)

72.7g

 

※単位100gあたりの含有量

 

とくに主食となるご飯やパン、さらには子どもがよく食べるお菓子にも炭水化物が含まれているので、ほかの栄養素に比べると総摂取量が多くなる傾向があります。

炭水化物を摂りすぎた場合の影響

炭水化物を摂りすぎた場合

炭水化物の摂りすぎによって、消費されずに余ったブドウ糖は中性脂肪として蓄積されます。

やがて肥満になり、生活習慣病の引き金にもなりえます。

不足にも注意したいですが、摂りすぎると影響があるので、適正な量に抑えることが必要です。

炭水化物が不足すると

炭水化物が不足した際の身体への影響

炭水化物が不足すると、体はエネルギー不足を補うために筋肉などのたんぱく質を分解してしまいます。

さらに筋肉量が減って基礎代謝量が低下し、太りやすくなったり、痩せにくくなったりします。

疲労感や脱力感が生じるほか、脳や神経系の働きも鈍ってしまうので注意が必要です。

炭水化物の摂取量目安

健康的な食事の写真

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、炭水化物の1日の摂取基準量は、1日に食事から摂取するエネルギー(㎉)の50~65%です(※20~39歳男女の目標)。

例として1日に2000kcalを摂取する場合(運動不足の成人女性の平均エネルギー必要量は1400〜2000kcal/日)、炭水化物で1000〜1300kcalが必要になります。

炭水化物のエネルギーは1gあたり4kcalなので、1日に250~325g。

1日3食食べるなら、1食あたり83〜108gが理想です。

またおにぎりに換算すると約2.5個分になります。
炭水化物の効率的な摂取方法

私たちの体に必要な炭水化物を効率的に摂取するためにはどうすればよいのでしょうか。

日々の食生活のなかで簡単に実践できるものをご紹介します。

ビタミンB群を組み合わせる

茶碗に注がれている玄米

糖質はビタミンB群によって体内で代謝されます。

そのためビタミンB群がなければ、体内で代謝されず、エネルギーとして活用できません。

おすすめは白米ではなく、玄米や発芽米を食べること。

ビタミンと同時に炭水化物(糖質)が摂取できるのでよりエネルギー源として利用しやすくなります。

GI値が低い炭水化物を選ぶ

GI値とは、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示すもので、摂取後2時間までの血中糖質濃度を計ります。

オーストラリアのシドニー大学では、ブドウ糖を基準としたGI値が70以上の食品を高GI食品、56~69の食品を中GI食品、55以下の食品を低GI食品と定義しています。

影響

炭水化物(穀物)の例

GI値が高い

血糖値を一気に上げるので、血液中の糖を処理するためにインスリンを大量に分泌したり、インスリンの分泌が追いつかなくなったりする。

白米、パン、餅、煎餅、粥、赤飯、バターライスなど

GI値が低い

血糖値の上昇が緩やかなので、インスリンが過剰に分泌されず、糖は速やかに組織に吸収される

そば、スパゲッティ、押し麦、春雨

 

炭水化物を適度に食べるようにしましょう

炭水化物は私たちの活動のエネルギー源となる食品です。

おいしい食事は私たちを幸せな気持ちにしてくれるので、つい食べ過ぎてしまいがちですが、食べすぎは生活習慣病の原因にもなります。

とはいえ、食べないとエネルギー不足に陥ります。

炭水化物を過度に恐れず、量と質を考えることが大切です。